セックスレスは深刻な悩みに発展することもあります。協議離婚や調停離婚であれば、離婚の理由になることもあるほどです。セックスレスとはどのような状態なのでしょうか?セックスレスの定義とセックスレスになる理由や対処法を解説します。
そもそもセックスレスの定義とは
セックスレスという言葉はよく聞かれるようになりましたが、具体的にどのような状態を指すのか知っている人は少ないかもしれません。詳しい定義を解説します。
日本性科学会の定義では
日本性科学会では、セックスレスを『特別な事情がない』のに、合意の上で行われる『性交やセクシュアル・コンタクトが1カ月以上ない』こと、と定義しています。
ここで注意したいのは、セクシュアル・コンタクトです。セクシュアル・コンタクトは、必ずしも挿入を伴いません。お互いの体に触れあったりキスしたりする、ペッティングといった行為も含まれます。
そのため、お互いがその触れ合いに合意し、満足しているのであれば、挿入がなかったとしてもセックスレスとはされません。
ただし、手をつなぐといった、夫以外の家族とも普通に行うスキンシップはセクシュアル・コンタクトには含めません。
夫とだけ特別に持つスキンシップがセクシュアル・コンタクトと呼ばれます。
夫婦のセックスレスは意外に多い?
挿入がなくてもセクシュアル・コンタクトがあればセックスレスになりません。しかし、それでも夫婦のセックスレスは意外と多いというデータが出ています。
20~30代の既婚男女に過去1年間の性交渉についてたずねると、およそ1~2割が1年間全く性交渉を持っていませんでした。
過去1カ月でたずねると、さらに性交渉を持っていない夫婦の割合は上昇します。およそ3割は1カ月の間全く性交渉を持っていないと回答しているというのです。
女性が悩むケースが多い
夫婦間のセックスレスは、女性が男性を拒否していることが多い傾向にあります。しかし、悩みが深刻化しているのは、『女性が男性に拒まれているケース』です。
出産を機に妻がセックスを拒んでいて、2人目が欲しいと思い始めたら夫に拒まれてしまった、というのが典型的です。
1人目の子育てに奮闘しているとき、女性の体内ではホルモンバランスが子育てモードになっています。子育てモードのとき、女性はセックスしたい気分になりにくいものです。
出産や子育てがきっかけのセックスレスを予防するには、セクシュアル・コンタクトを維持し続けましょう。セクシュアル・コンタクトが途切れなければ、性交渉は自然と再開できるケースがほとんどです。
セックスレスになると考えられる要因
子どもの誕生がきっかけでセックスレスになる以外にも、夫婦の関係に変化をもたらす要因があります。
なれ合いから
結婚して一緒に生活し始めると、よい面も悪い面も、それまでより多く見えてきます。
例えば、それまで妻のONの姿しか見たことがなかった夫が、OFFの姿を見てしまうことで、『異性として見られなくなった』ということもあるそうです。
一緒に過ごす時間が長くなり、お互いに身だしなみや体形に気をつかわなくなっていったことも、要因かもしれません。
性欲、体力の減退
年齢を重ねることで性欲を感じなくなったり、体力が落ちてきたりすることも、セックスレスになる要因です。
あまりに疲れていると、性欲より睡眠欲が勝ってしまい、寝てしまうことがあります。セックスへの意欲が低下していると、セックスすること自体が面倒に感じられることもあるそうです。
妻も夫も毎日忙しい日々を送っています。共働きの夫婦が増えているため、なかなかスケジュールが合わないこともあるでしょう。
毎日疲れ果て、タイミングも合わないと、次第にしたいと思えなくなってくるのかもしれません。
セックスレスが原因で離婚はできるのか?
セックスは夫婦の大切なコミュニケーションです。それができなくなるセックスレスは、離婚の理由として正当なものとされるのでしょうか?
協議離婚、調停離婚は可能
離婚には大きく分けて3種類あります。夫婦間の話し合いを行う場を持つ『協議離婚』と『調停離婚』、そして法定離婚事由に当てはまるかどうかで判断される『離婚裁判』です。
協議離婚と調停離婚は、話し合いをスムーズに行うために行われるものです。
そのため、離婚の理由は、離婚請求に合意しているならば、何でも構いません。セックスレスもそのうちの一つとして認められます。
離婚裁判の場合は、民法で定める法定離婚事由に該当しなければ離婚が成立しません。セックスレスのみでは離婚事由とされない可能性があります。
慰謝料は請求できる?
セックスレスは夫婦間の問題です。そのため、どちらか一方が悪いと決められません。慰謝料を請求したとしても、請求が認められないケースが多いでしょう。
ただし、過去には慰謝料が認められた判例もあります。そのケースでは、3カ月という婚姻期間中に1度も性交渉がなかったことに合わせ、夫の不真面目な態度も問題とされました。
セックスレスの慰謝料はケースバイケースで、認められることもある、といえます。
まとめ
1カ月以上、性交渉もセクシュアル・コンタクトもない状態が続くのがセックスレスです。意外と多くの夫婦がセックスレスになっており、中には深刻な悩みに発展しているケースもあります。
セックスレスを理由に離婚に発展することもあるでしょう。ただし、慰謝料の請求が認められるかどうかはケースバイケースです。