大好きな彼氏や夫とセックスできなくてつらい。けれど、セックスレスの悩みはデリケートなため、周囲に相談できず1人で悩んでしまいがちです。セックスレスの原因や解消法を知って、パートナーとの関係性を見直してみましょう。
セックスレスとは?
「ここ最近性生活がない」「パートナーに求めても断られてしまう」夫婦間だけでなく、恋人同士でもセックスレスに悩む人は多いのではないでしょうか。
ここではセックスレスについての定義や、カップル間におけるセックスの頻度、セックスレス夫婦の割合について紹介します。
セックスレスの定義
日本性科学会が1994年にセックスレスについて定義をしました。
『特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシャル・コンタクトが1カ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合』
この場合、セックスレスに該当します。セクシャル・コンタクトはセックスのみならず、キスやペッティングなどの性的接触も含まれます。
ただし、タイミングの問題で1カ月セックスをしなかった、という場合はセックスレスではありません。体調の問題、仕事が忙しく関係を持てなかったなど、『お互いしたかったけれどできなかった』場合は考慮しません。
セックスできる状態であるにもかかわらず、心理的な壁がある、相手に性的魅力を感じなくなった、関係がマンネリ化してしまったなど、何らかの差し支えがありセックスを行わなくなってしまった状態をセックスレスと呼びます。
セックスレス夫婦の割合
日本家族計画協会が2017年に行った『男女の生活と意識に関する調査』によると、婚姻関係にあるカップルのセックスレスの割合は、47.2%にのぼります。夫婦の約半数がセックスレスという結果です。
夫婦の場合は恋人同士と比較して一緒に過ごす時間が長いため、『いつでもセックスできる』状態にあるといえます。
「今日は疲れているから」「気分が乗らないから」とセックスをするタイミングをとらないまま時間が過ぎてしまう、ということもあるでしょう。
また、出産や育児を機にセックスの頻度が少なくなる、長く一緒にいることで男女の関係ではなく『家族』になり、相手に性的興奮を感じなくなる、などきっかけはさまざまです。
そもそもセックスの頻度が少ない
日本人は世界的に見てもセックスの頻度が少ないです。2005年にDurex社が行った調査によると、『日本人は世界で最もセックスの頻度が低い上、性生活に対して満足していない』という結果が出ています。
この調査によると、日本人の1年あたりのセックスの回数は45回、月平均に換算すると、1カ月あたり3回です。この回数は調査を行った41カ国中最下位で、40位にランクインしたシンガポールの73回と比べても突出して少ない状況です。
また、性生活に対する満足度は41カ国中40位と、こちらもまた低い順位です。
2018年にコンドームメーカーの相模ゴムが行った調査では、カップルや配偶者などセックスできる相手がいる人たちの1カ月のセックス回数は、なんと2回程度とこちらも低い数字となっています。
世界の夫婦間でのセックス事情は?
日本では約半数の夫婦がセックスレスであり、セックスをしている夫婦やカップルでもセックスの回数は少ないことがわかりました。
では、海外のセックス事情はどうでしょうか。各国のセックスに対する考え方は日本とは大きく違うようです。
イタリア
イタリアは、魅力的な女性がいたら男性は口説くのが礼儀、といわれるほど愛や情熱をストレートに伝えるイメージのある国です。
女性も若い人のみならず30~40代になってもスカートを履いて足を出しているほど、女性としての意識が高い人が多いです。
イタリアでは、セックスは『最大の愛情表現』と考えられています。セックスの気分を盛り上げることも欠かさず、たとえば妻にセクシーなランジェリーをプレゼントするなどして雰囲気をつくろうとします。
また、セックス中も言葉やスキンシップによる愛情表現を忘れません。
アメリカ
アメリカは自己主張の強いお国柄というイメージを持っている人もいるかもしれません。そんなアメリカはセックスに対してもオープンな傾向です。
アメリカでは、セックスの話をパートナー友人同士で語り合い、セックスをよりよいものにしようとします。セックスレスでカウンセリングを受けることも当たり前のことで、セックスについて話し合うことが文化として根付いている印象です。
フランス
フランスでは、夫婦間の関係性はパパ・ママである以前に、1人の男性であり女性であると考える傾向にあります。そのため2人の時間を作ることをとても大切にし、子どもを預けてデートに出かけることは当たり前です。
また、フランスでは『体の関係がない=愛情がない』という考えが根付いています。そのためセックスレスは離婚の原因にもなるのです。日本のように、愛はないけれど子どものために離婚はしない、という関係性はほとんどありません。
セックスレスになるきっかけとは
セックスレスに陥るきっかけはさまざまです。以下に心当たりがある場合は、パートナーとの関係性を見直す必要があるかもしれません。
相手に異性を感じない
付き合ってはじめのうちは、服装やメイクに気遣うようにしていた、一緒に暮らしはじめた最初のうちは、恥じらいがあったから着替えは夫の見えないところで。
最初のうちはちゃんと気を付けていたはずの身だしなみですが、付き合いが長くなるにつれて、だらしなくなってきていませんか?そのだらしなさが、セックスレスにつながっている可能性もあるのです。
家ではパジャマのまま、体重や体形の変化、恥じらいもなく彼氏や夫の前で着替える、このようなことが続けば、あなたに異性としての魅力を感じられなくなってしまいかねません。
仕事などで忙しくて体力がない
肉体的に疲れていると、セックスをする気は起きません。平日は仕事をしていて時間がなく、週末は疲れをとるためにゆっくりしたい。そう思っている男性もいるのではないでしょうか。
あなたのことは好きだけれど、体が追い付かない状態が続けばセックスレスに陥ります。
また、性欲はリラックスしているときに起きることが多いため、精神的にストレスが溜まっていると性欲は減退していきます。こういった場合は無理にセックスに誘わず、彼氏や夫のストレスを軽減するように努めましょう。
年を重ねるごとに体力の衰えを感じ、セックスへの自信を無くしている場合もあります。
性欲はあるけれど、体力に自信がなかったり、勃起不全など身体的に問題があったりすると、セックスの頻度が少なくなっていきます。
そもそもセックスが嫌い
セックスに興味がなかったり、プレッシャーに感じていたりする男性も一定数存在します。
男性は、セックスで女性を満足させないといけないと思い込んだり、パートナーから子作りをせがまれたりすると、それがプレッシャーになってセックスを避けようとする場合があります。
セックスは時間も体力も使いますので、シンプルに面倒に感じる人もいます。特に、男性は体力を消耗するため、性欲が湧いた時はマスターベーションで済ませるほうが手軽だと思っている人もいます。
また、もともと性欲があまりない、身体にコンプレックスがある、以前セックスでダメ出しをされて心が折れた経験があるなどセックスが嫌いになる理由はさまざまです。
浮気・不倫をしている
彼女や妻に対し性欲が減退し、外で性欲を解消してしまう人もいます。以前と比べて極端にセックスの回数が減った、自己処理をしている様子もないなどであれば、他の女性と関係を持って性欲を満たしている可能性も否定できません。
彼氏や夫が最近携帯電話を肌身離さず持ち歩く、新しい下着を買った、やたら休日出勤が増えたなどの行動をとっていたら、それは浮気の兆候かもしれません。早めに打開策を考えたほうがよいかもしれません。
セックスレスを解消する方法 恋人編
恋人とのセックスレスに悩むあなたは、慣れてしまった行動に変化をつけてみましょう。あなた自身が変わることで彼氏も新たな気持ちであなたと向き合うことができるでしょう。
見た目を気にしてみる
付き合いが長くなると、外見を整えるのに手を抜いてしまいがちです。会っている時もノーメイク、服装も適当、これでは彼氏はあなたにときめきを感じられないでしょう。
男性はパートナーの女性にはいつまでも綺麗でいてほしいと思っている傾向にあります。見た目や体形がだらしなくなると性欲も減退しがちです。
メイクやファッション、髪型がずっと同じでマンネリ化している場合も、新鮮味を取り戻すために見た目を一新することをおすすめします。
身だしなみを整えるだけでもよい緊張感が生まれます。まずは見た目を再点検してみましょう。彼氏もあなたの変化に性的興奮を取り戻すかもしれません。
いつもとは違うプレイを試してみる
例えば、セックスの流れはキスをして愛撫して挿入で終わりなど、ずっと変化のないプレイ内容では、彼氏はセックスに対する魅力や興味を失っていきかねません。
あなたから提案するのは恥ずかしいかもしれませんが、いつもとは違うセックスを試してみましょう。1度も経験のない体位に挑戦してみる、アダルトグッズを使ってみるなどお互いが気持ちよくなり楽しめる方法を模索してみましょう。
いつもセックスの主導権が彼氏にあるならば、たまにはあなたがリードしてみてもよいでしょう。積極的なあなたの姿が彼氏の性欲に火をつける起爆剤になるかもしれません。
場所にこだわってみる
家でセックスするカップルも多いでしょうが、長い間一緒に過ごすと、ベッドは寝るところという意識になり、セックスをする雰囲気になりにくいことがあります。
たまにはラブホテルを利用してみてはいかがでしょうか?場所が変わると新鮮な気持ちになり、マンネリなセックスからの脱却が期待できます。
2人で旅行に出かけるのもよいでしょう。彼氏と思い出を共有して仲を深めたら、ホテルでゆっくりスキンシップをとってみましょう。非日常な雰囲気に彼氏もやる気になるかもしれません。
セックスレスを改善する方法 夫婦編
長い時間生活を共にしている夫婦の場合は、パートナーと向き合う時間を意識的に作ってみましょう。パートナーとの関係を見直すことでセックスレス解消につながるかもしれません。
リラックスできる空間を用意
夫婦の場合、セックスは『子作り』のためにするものになっている雰囲気があるカップルもあるでしょう。子どものためにセックスをしてほしい、と思う雰囲気を感じ取り、男性はプレッシャーに思っているかもしれません。
セックスレスを解消するためには、男性が緊張感を持たない環境を用意すると効果的です。セックスは子どもを授かるためにも大事な行為ですが、それ以前に夫婦のコミュニケーションがギクシャクしてしまっては本末転倒です。
また、子どもがいると気が散る、仕事で疲れているなど、リラックスできない場合も性欲は湧きづらいものです。
セックスの時間帯を子どもが外出している時間にずらしてみる、癒しのためにアロマを焚いてみる、といった2人がリラックスしてセックスできる環境づくりを意識してみましょう。
2人だけで出かける時間を大切に
子どもがいる夫婦だと、どうしても子ども優先の生活になりがちです。イライラの要因の大部分を占めるのは子どものこと、なんて夫婦もいるのではないでしょうか。
たまには子どもを預けて2人の時間を作ってみましょう。2人で出かけることは、パパ・ママの関係から、男女の関係に戻るきっかけになります。
夫とゆっくり過ごしたり、スキンシップをとってみたりすると、付き合いはじめの頃を思い出すよいきっかけになるでしょう。
きちんと話し合いをすることが重要
セックスレスで辛いなら、勇気を持って夫と話し合いの時間を作ってみましょう。夫がセックスレスについてどのように考えているかを知ることで、解決策が見つかるかもしれません。
実は最近体調がすぐれない、1度勃たなかったことがありトラウマになっている、など夫の本音を知ることで今後の打開策を検討できるでしょう。
そもそもセックスレスで悩んでいる2人は、セックスしたいのに受け入れられない、セックスしたくないのに執拗に求められる、と互いに不満を持っている状態であると考えられます。
そのため、相手の主張を受け入れる姿勢が大事であるとともに、自分の意見を冷静に述べるよう心掛ける必要があります。
一方的に自分の主張を押し付けるようなことや、夫を否定するような話し方は絶対に避けましょう。このような行動をとると話し合いが逆効果になり、夫は心を閉ざしてしまいかねません。
セックスレスになることのデメリット
セックスレスが続くと愛する人とのコミュニケーションやスキンシップが減ってしまうだけでなく、さまざまなデメリットがあります。メンタル面にも悪影響を及ぼし、最悪、別れの危機も訪れてしまうかもしれません。
精神面に複数のリスクがある
セックスをすることで、生きる意欲をつくるホルモンといわれる『ドーパミン』をはじめ、幸せホルモンと呼ばれる『セロトニン』、ストレスを消すとされる『オキシトシン』などが分泌されます。
これらのホルモンの作用により、幸福感を得られる、ストレス耐性が高まるなどの効果があるのです。
セックスレスが続くと、これらのホルモンが分泌される機会が減ってしまうため、情緒不安定になる場合もあるのです。
また、ドーパミンにはうつ病や認知症などを予防する効果があるといわれています。セックスをしなくなるとストレスに弱くなる、うつ病のリスクが高まるなど健康上にもよくありません。
離婚の原因になることもある
セックスレスは離婚の原因となる場合があります。海外ではセックスレスから離婚を選択する夫婦も多いですが、日本でもセックスレスは『婚姻を継続し難い重大な理由』として、離婚事由に該当する可能性も考えられます。
また、愛している人から拒否される状態は、身体的な痛みと同様の痛みを伴うことが近年の研究で判明しています。性交渉がなくなることで心が傷つき、パートナーと喧嘩する頻度が増えたり、心の距離ができたりします。
パートナーのことを愛しているのなら、こういった状態になる前に何かしらの対策を講じる必要があるでしょう。
セックスレスでも問題ないケースも
セックスレスで悩みが尽きないカップルも多い中、セックスをしなくても円満な関係を維持しているカップルや夫婦がいることも事実です。セックスレスだけど仲はよいカップルの特徴を紹介します。
セックスにこだわらない
お互いの愛情を、セックス以外のところで伝えあっている場合は、セックスにこだわらずに夫婦生活を送れます。
言葉で「愛してる」と伝える、手をつないだりキスをしたりしてスキンシップを欠かさないなど、愛情表現ができていると、愛情をセックスで確認する必要がありません。そのためセックスのあるなしにかかわらず仲良く過ごせます。
ほかの楽しみ・趣味が充実している
夫や妻それぞれが、ほかの楽しみや打ち込める趣味を持っていると、気持ちが家庭から外に向きネガティブな感情を発散できます。そのため、セックスレスがそこまで重大な問題とならなくなるのです。
好きなことに打ち込んでいると、精神的に満たされます。これまでセックスで満たされていた幸福感も趣味などで補うことができますので、セックスがなくても夫婦円満で過ごせます。
セックスレスのことでストレスが溜まっているのなら、一度気分転換を兼ねて好きなことに取り組んでみると気持ちが落ち着いてパートナーと新たな気持ちで向き合えるでしょう。
まとめ
セックスレスの問題は、パートナーと長期間一緒に過ごすことの慣れ、疲労やストレスなど、原因はそれぞれ複雑に重なっているパターンがあります。解決の糸口が見いだせず、悶々と過ごしている人も多いのではないでしょうか。
環境を変えたりパートナーと話し合いの機会を持ったりすると、セックスレス解消のきっかけになる可能性があります。まずはできることから試してみましょう。